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2009年08月25日

WATARIDORI

 Natural in Cinema!  第7回 「WATARIDORI」    

鳥という生きものは身近にいながら、翼を持ち空を住みかとするために、
多くの人にとってあまり目に留まらない存在です。
見ていても見ていない、そんな距離感があります。

私が初めて鳥の世界に目を開いたのは高校ぐらいの時。
カワセミを通じてでした。
一度鳥が見えだすと、こんなにいたんだ!というくらい彼らが目に飛び込んできます。

人生を豊にする出会いでしたが、同時に「暇な時間」は私から失われてしまいました。
なにしろ、どこにいても彼らが語りかけてくるからです。

「ニュー・シネマ・パラダイス」の名優ジャック・ペランが総監督を勤めたドキュメンタリー「渡り鳥」は、
鳥になってしまえる映画です。
鳥と寄り添って空を飛ぶ映像は、ヒナの時からスタッフとともに育った彼らを、低飛行機で撮影したもの。

完全な自然ではありませんが、空にいる時の鳥たちの生き生きした姿、
広い広い世界の中で点になって飛んでいく姿は、変わらない生命の流れを伝えてくれます。

メインの主人公シジュウカラ・ガン(鷹)の果てしのない旅は私たちの想像を超えています。

社会派のベランは環境問題を途中に入れていますが、そのシーンはなくとも、ひたすら海岸線を
飛んでいく鳥たちと鼓動を共にするだけで、いかに彼らがこの地球と繋がって生きているのかを知り、
延々と続く水に濡れた砂浜の美しさや、翼が風を切る静寂の音に心打たれるのです。

パラグライダーで空を飛んだことがあります。
何よりも素敵だったのは、その静けさでした。
風の中に自分が包まれているときは、音がしないのです。
そして、遠くには波の音や町の音がかすかに聞こえます。
もしかしたら「地球の声」かもしれないような気配も。

鳥たちはいつも、そんな視点から世界を眺めているのでしょう。
私たちが彼らから学ばなければならないことを教えてくれる作品です。

 (2001年フランス、共同監督ジャック・クルーゾ、ミッシェル・デバ)


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   しんや通信
     2006年はオリオンやマグナムドライCMになぜか関与、海邦銀行CMでエキストラ。
     最新映画「子宮の記憶」(松雪泰子主演)では瀬底島で照明助手の助手?を勤めた。
     コラムの読者から映画のリクエストをいただきました。
     袖の下(甘い物)があれば即使用です。受付はえころんまで。
     2007年もよろしくお願いします!



ーえころん通信 2007年1月号よりー


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